ある日突然、交際相手の配偶者から慰謝料を請求される通知が届いたら、誰でも動揺するものです。しかし、慌てて対応を誤ると、本来支払う必要のない金額まで負担してしまう可能性があります。ここでは、不倫の慰謝料を請求された場合に知っておくべき対処法を解説します。
まずは冷静に状況を把握する
慰謝料請求の通知を受け取ったとき、最も重要なのは冷静さを保つことです。パニックになって相手の言いなりに支払いに応じたり、逆に感情的になって相手を罵倒したりすることは、どちらも事態を悪化させます。
まずは請求書や通知書の内容をしっかりと読み、以下の点を確認しましょう。誰からの請求なのか、請求金額はいくらか、請求の根拠として何が主張されているのか、回答期限はいつか。これらの情報を整理した上で、次のステップに進みます。
内容証明郵便で届いた場合でも、それ自体に法的拘束力はありません。あくまで相手の意思表示であり、記載された金額をそのまま支払う義務が自動的に生じるわけではないことを理解しておきましょう。
請求の正当性を確認する
慰謝料請求が法的に認められるためには、いくつかの要件を満たす必要があります。まず、不貞行為(肉体関係)の事実が存在すること。食事やメールのやり取りだけでは、原則として不貞行為とは認められません。
次に、相手が既婚者であることを知っていた(または知り得た)こと。交際相手から「独身だ」と偽られていた場合、慰謝料の支払い義務が免除される可能性があります。ただし、「知らなかった」と主張するだけでは不十分で、知らなかったことについて過失がなかったことを示す必要があります。
さらに、請求者の婚姻関係が不貞行為以前からすでに破綻していた場合も、慰謝料請求が認められないことがあります。別居が長期間続いていた、離婚の話し合いが進んでいたなどの事情がある場合は、この点が争点になり得ます。
自分の権利を理解する
慰謝料を請求された側にも、法律上認められた権利があります。まず、請求された金額が不当に高額である場合、減額を求めることができます。不倫の慰謝料の相場は、婚姻関係が破綻に至った場合で100万円から300万円程度、離婚に至らなかった場合で50万円から200万円程度が目安とされています。
また、不貞行為は交際相手と共同で行うものであるため、慰謝料の支払い義務は交際相手と連帯して負います。つまり、請求者が交際相手にも慰謝料を請求できるにもかかわらず、自分だけに全額を請求している場合は、交際相手にも応分の負担を求める「求償権」を行使できる場合があります。
弁護士への相談を検討する
慰謝料請求への対応は、法的な知識が必要な場面が多いため、早い段階で弁護士に相談することをお勧めします。特に、請求金額が高額な場合、相手方に弁護士がついている場合、裁判を起こすと通知されている場合には、専門家のサポートが不可欠です。
弁護士に依頼するメリットとしては、相手方との交渉を代行してもらえるため精神的な負担が軽減されること、法的に有効な反論を組み立ててもらえること、不当な請求に対して適切に対処できることなどが挙げられます。初回相談を無料で行っている法律事務所も多いため、まずは相談だけでも検討してみてください。
交渉の進め方
慰謝料請求に対しては、大きく分けて3つの対応方針があります。
1つ目は、請求内容に合意して支払う方法です。不貞行為の事実があり、請求金額が相場の範囲内であれば、早期に解決するためにこの選択をすることもあります。ただし、支払いの際には必ず示談書(合意書)を作成し、「今後一切の請求をしない」旨の条項を入れることが重要です。
2つ目は、減額交渉を行う方法です。請求金額が相場を超えている場合や、不貞行為の期間が短い場合、婚姻関係への影響が限定的な場合などには、減額を求める交渉が有効です。
3つ目は、請求を拒否する方法です。不貞行為の事実がない場合、相手が既婚者であることを知らなかった場合、すでに婚姻関係が破綻していた場合などには、支払い義務がないことを主張できます。
消滅時効について
慰謝料請求には時効があります。不貞行為の慰謝料請求権は、請求者が不貞行為の事実と相手方を知った時から3年で時効を迎えます。また、不貞行為の時点から20年が経過した場合にも、除斥期間により請求権が消滅します。
ただし、時効が完成していても、自ら支払いを認めてしまうと時効の主張ができなくなる場合があります。時効の可能性がある場合は、安易に支払いの意思を示さず、弁護士に確認することが重要です。
慰謝料の減額が認められるケース
裁判においては、様々な事情を考慮して慰謝料の金額が決定されます。減額が認められやすい事情としては、不貞行為の期間が短いこと、不貞行為の回数が少ないこと、交際相手からの積極的な誘いによるものであったこと、すでに十分な反省を示していること、経済的な支払い能力が乏しいことなどが挙げられます。
逆に、長期間にわたる不貞行為、妊娠や出産を伴う場合、相手の家庭の崩壊を引き起こした場合などは、増額の要因となります。
まとめ
不倫の慰謝料を請求された場合、冷静な対応と正しい法的知識が何よりも重要です。請求された金額がそのまま確定するわけではなく、交渉や法的手続きを通じて適正な金額に調整できる可能性があります。一人で抱え込まず、弁護士に相談することを強くお勧めします。
ひふみ探偵事務所では、慰謝料問題に関連する事実関係の調査をお手伝いしております。交際相手の婚姻関係の実態調査など、必要な情報収集についてもご相談ください。